モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソなど近代ヨーロッパ絵画の巨匠の作品を集積して、世界屈指のコレクションを誇る米国・ミシガン州デトロイト市の『デトロイト美術館』。その中核を成す数々の傑作の中から、選りすぐりの52点の作品が来日。「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち」と題し、4月27日より国内3ヵ所の美術館での巡回展示が行われる。
日程は以下の通り
2016年4月27日-6月26日:豊田市美術館(愛知県豊田市小坂本町8-5-1)
2016年7月9日-9月25日:大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82)
2016年10月7日-2017年1月21日:上野の森美術館(東京都台東区上の公園1-2)
デトロイト美術館(Detroit Institute of Arts 通称DIA)は1885年開館した米国の老舗美術館であり、保有する美術品は6万5,000点以上に上る。古代エジプト美術~現代美術まで多岐にわたる作品の中には、ゴッホの「自画像」(1887年に入手)、マティスの「窓」(1916年に入手)もあり、「ヨーロッパ絵画の巨匠、ゴッホとマティスの作品をアメリカで初めて入手した公共の美術館」としても知られている。
同展覧会では、この「自画像」「窓」のほか、ピカソの「読書する女性」など日本未公開の15点の作品を含めて展示。印象派、ポスト印象派、20世紀のドイツ絵画、20世紀のフランス絵画の4章に分けて紹介し、ヨーロッパの近代絵画の顔ともいうべき名画を堪能できる構成になっている。
デトロイト美術館展では名品の鑑賞と合わせ、美術館の歴史やコレクションが守られたストーリーに思いを馳せることも楽しみのひとつとなる。
デトロイト美術館の開館当時、フォード、クライスラー、ゼネラルモーターズといった企業を擁し、「全米屈指の工業都市」「モーターシティ」と称されたデトロイト市。同美術館が豊かなコレクションを構築した背景には、先見性を持つ美術委員会と高度な審美眼・選択眼を持つことから顧問として起用されたドイツ人美術史家のヴィリアム・ヴァレンティナー氏(1924年に美術館館長に就任)の存在があり、デトロイト市の潤沢な財政を背景にした購入資金と新聞業界・自動車業界の有力者からの資金援助という支えがあった。しかし、相次ぐ工場の移転や大型自動車の衰退、リーマンショックの影響により「米国の自治体としては過去最大規模」となる180億ドル超の負債総額を抱え2013年7月にデトロイト市が財政破綻。
その際、美術館に収蔵されているコレクションも売却が検討されたのだが、売却すれば年金の資源も確保されるであろう状況にも関わらず、デトロイト市民が美術館を守るために立ち上がり、また、国内外の資金援助も得て、現在も欠かすことなくコレクションを保持し続ける結果となっているという。
アンリ・マティス
1916制作
City of Detroit Purchase
右:「自画像」
フィンセント・ファン・ゴッホ
1887制作
City of Detroit Purchase