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宝飾業界ニューストップ > バックナンバー一覧 > 2017年05月17日
【2017年05月17日】

海外展開をめざすTASAKIのMBO終了 上場廃止へ

 5月11日、TASAKIが実施していたMBO(自社買収)が終了した。この結果、TASAKIは上場を廃止する。

 

自社買収で再び投資ファンドの傘下へ

 

 TASAKIは3月24日、投資ファンドを通じて株式公開買い付け(TOB)を開始し、経営陣による自社買収を実施すると発表していた。

 

*MBOとは

Management Buyoutの略称でM&Aの手法のひとつ。会社の経営陣が、金融支援(=買収をしようとする企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として投資ファンド等からの出資・金融機関からの借入れなどをおこなうこと)を受けることによって、自ら自社の株式や一事業部門を買収し、会社から独立する手法のこと。(中略)株式公開のメリットが薄れた上場会社が、会社自ら株式非公開に踏み切るための手段として活用されることもある。―野村證券用語解説集より抜粋―

 

 国内宝飾品市場は今後伸びが見込めないため、TASAKIは欧米市場での販売強化を狙っている。そのため広告や店舗展開など海外で積極的な投資を行うため、一時的に業績や財務の悪化が見込まれる。上場企業の場合は、株主への配慮に束縛されてしまうため、非上場化することで経営の自由度を高めて海外出店攻勢をかけるのが目的である。

 

これまでの経緯

 

 TASAKIの前身である田崎真珠は、1956年に田崎俊作氏によって創業され、国内真珠最大手に育ち、1993年に東証1部に上場。1994年に日本で唯一のデビアスのサイトホルダーとなった。だが2000年代に赤字に転落し、膨大な在庫を抱えて株価も低迷していた。

 

 2006年にはサハダイヤモンドが田崎真珠株を買占め、11.34%の株式を保有して筆頭株主となった。2007年12月にサハダイヤモンドは田崎真珠の役員に自社の取締役を送り込もうとしたが、拒否されて挫折。その後田崎真珠の株は、サハダイヤモンドから外部に流出した。

 

流出先が反社会的勢力と噂されていたため、危機感を抱いた田崎氏(当時は名誉会長)は、2008年買収防衛策として独立系投資ファンドのMBKパートナーズに身売りする形で会社と屋号を守った。

 MBKパートナーズは田崎真珠の経営建て直しのため、クリスチャン・ディオールやフェンディジャパンのCEOだった田島寿一氏を代表執行役として招いて、ブランド再構築を図った。田島社長は社名をTASAKIに変更。2005年10月期から8期続いていた最終赤字に歯止めをかけ、2013年10月期に黒字化を果たした

 

*MBKパートナーズ

2005年3月、米投資ファンド、カーライル・グループのアジア地域担当幹部2人が独立し、新しい企業買収ファンドの運営会社として設立。公的年金、企業年金、大学基金、政府等の投資家の支援を得て、約 100 億米ドルの運用金額を有する。本では弥生株式会社、株式会社TASAKI(旧田崎真珠株式会社)、株式会社ユー・エス・ジェイ、株式会社インボイス、株式会社コメダ、国内最大級のゴルフ場運営会社、アコーディア・ゴルフなどの投資実績がある。

 

 MBKパートナーズは田崎真珠の優先株を69億円で取得していたが、TASAKIの経営が軌道に乗り出した2015年7月、MBKパートナーズは保有株式を全株売り出し、TASAKIは銀行からの借入金でその24%437万株を@2,300円で買取った。また48%865万株を2,204円で公募して売却している。

 

MBOの結果と今後の展開

 

 今回のMBOはMBKパートナーズが出資する㈱スターダストがTOBを行うという形を取り、TOB価格は1株2,205円。3月23日終値の1,550円を42%上回るプレミアムを付けた。公開買付の結果11、594,367株の応募があり、8月1日をめどにスターダストを存続会社としてTASAKIを消滅会社とする吸収合併を実施し、その後は上場廃止となる。

 

 なお今後の見通しだが、MBKパートナーズにとって、買収資金を回収するためには、他のファンドか企業に売却するか、棚卸資産の売却、あるいは再上場させて上場益を得る方法がある。TASAKIの海外戦略が一段落した段階で再び上場をめざすだろうというのが、株式市場関係者の見方である。

 

 世界的な知名度を持つミキモトに比べて、欧米でのTASAKIの認知度はまだ十分とはいえない。かつて田島社長はJAPAN PRECIOUSのインタビューで「外資系企業ばかり手がけてきたので、世界に発信できる可能性を持つ日本のブランドの仕事がしたかった」と語り、「将来的には海外売上と国内売上とを半々にしていく予定」と海外進出への抱負を明らかにしていた。

 株式公開企業としてのくびきを逃れて、どのような海外展開を図っていくのか、TASAKIの今後が注目される。

 

 

<再録>田島寿一氏インタビュー1

プレシャスWebマガジン

http://www.japanprecious.com/webmagazine/details.php?id=732

<再録>田島寿一氏インタビュー2

プレシャスWebマガジン

http://www.japanprecious.com/webmagazine/details.php?id=733

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