2019年8月22日、世界初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」において、シチズン時計株式会社(https://citizen.jp/ 本社:東京都西東京市、社長:佐藤 敏彦氏、以下「シチズン」)と株式会社ispace(http://ispace-inc.com/jpn 所在地:東京都港区、ファウンダー&CEO:袴田 武史氏、以下「ispace」)がコーポレートパートナー契約の締結を発表した。
シチズンは、同社が腕時計のために独自に開発した素材「スーパーチタニウム™」を「HAKUTO-R」で使用されるランダー(月着陸船)とローバー(月面探査ローバー)の開発に提供する。
今回のコーポレートパートナー契約の締結について、「HAKUTO-R」を展開する宇宙スタートアップ企業ispaceファウンダー&CEOの袴田 武史氏は
「宇宙で使われている技術は、昔から変わらず使われ続けている技術が意外と多いのです。地上で生み出された技術が、一見宇宙と関係なさそうに見えても、宇宙開発に大きなイノベーションを起こす可能性は高いと考えています。チタン製腕時計の表面処理技術という特殊な技術が、実は宇宙における課題解決につながります。私たちは積極的に地上の技術を活用し、パートナー企業様と一緒に宇宙開発の新たな形に挑戦していきます」
とコメント。
シチズンは1970年に世界初のチタニウムケースの腕時計を発売。以来、チタニウムを精密に加工する技術を培い、素材の表面に非常に薄く、硬く、耐摩耗性に優れた膜を形成する表面硬化技術「デュラテクト」を構築。シチズンの技術により生み出された「スーパーチタニウム™」はチタニウム本来の特性である軽さはそのままに、純チタニウムの 6 倍以上の表面硬度を実現しており、軽く、美しく、キズがつきにくく、さびにくいという特徴を有した素材となっている(※スーパーチタニウム、デュラテクトはシチズン時計株式会社の登録商標)。
「HAKUTO-R」では軽量化と強度の観点から、ランダーとローバーにチタニウム製の部品を各所に採用する予定としており、「スーパーチタニウム™」を採用することで、ランダーとローバーの信頼性と耐環境性の向上を目指していく。
今後の検証によって、実際に使用する部位、膜厚やコーティング作業などの検討を行い、「スーパーチタニウム™」の実装に向けて両社のエンジニアが開発を進めていくことで、他分野の製造技術を活用した新たな宇宙開発に挑んでいくという。
株式会社ispace発表の民間開発の月着陸船による「月面着陸」と「月面探査」の2つのミッションを行うプログラム「HAKUTO-R」はアメリカ SpaceX 社の Falcon 9ロケットで2021年と2023年に打ち上げ予定。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動。