
第21回国際宝飾展(IJT)が終わって1週間たちました。
業界ニュースでもお伝えしたように、来場者は速報値で3万5,763人。昨年の3万7,936人から微減という状況でした。時計やファッショングッズコーナーがあるので、東館の6ホールをフルに使用していた頃に比べると、ジュエリー出展者の実質的な使用面積は3分の2強ということになります。
会場で目立ったのは中国人バイヤーの勢いの強さ。ドバイの業者もそれなりの高額品を買い付けていたようです。
今年はIJTの会期に合わせた、別会場で行われる新作発表会や取引先向けセミナーがまた増えました。IJT出展料の費用対効果や招待客の囲い込みを考えると、独自のイベントはそれなりにメリットがあります。
ビッグイベントを核にしてパラサイト的なイベントが行われるのは、相乗効果として歓迎すべきことです。ただ肝心のビッグイベントが空洞化して採算が合わなくなってくると、すべてが雲散霧消してしまう恐れがあります。実際に海外ではそうした例があったようです。
業界関係者のブログをチェックしていると、一般消費者の来場や現金売りを取り上げて、新作提案の場としてのIJTの方向性に、疑問を投げかける論調がいくつかありました。これは正論なのですが、ではどういう方向に行けば良いのでしょうか。
確かに、銀座のクラブのママが来ていたなどと聞きますから、正真正銘の素人も多数いたのは事実でしょう。弊社のブースでも「この人は何者?何しに来てるの?」という来場者と名刺を交わしました。
しかしブティックや異業種のオーナーの自家需要の場合も、業界人の目からは素人に見えてしまいます。
また来場者の質の一部は確実に変化しています。それはインターネットで販売している半玄人が増加していることです。土日の御徒町に行ってみるとわかりますが、平日はサラリーマンでインターネットで宝石販売の副業をしている人たちが、天然石やケースを仕入れていく姿を見かけます。この人たちがやはりIJTに来ています。
さらに「新作提案の場としてのIJT」という場合、20年前と比べて業界構造が大きく変化していることも見逃せません。
中間卸や地方卸の力が弱くなった結果、メーカーも小売店も直接取引を進めてきています。実はこの風潮を促した原因の1つがIJTだったともいえるわけですが、昔のような卸経由の委託取引が減っているので、小売店は自社のリスクで仕入れざるを得ず、必然的に現物買いに力を入れます。
IJTは時代と業界の現状を映す鏡です。第1回目のIJTと同じ内容であれば恐らく会場はガラガラになるでしょうし、現物売りだけにすれば新作は皆無になってしまうでしょう。
だからIJTは常に賛否両論を浴びながら、非常に興味深いバランスを保ってきているのではないでしょうか。
ところで弊社はブースで雑誌の宣伝に努めながら、会場内での取材と営業を行っていたのですが、ブースで感じた来場者の印象は非常に前向き、何かをしようとか探そうという意欲があったことです。
海外ブランドの日本代理店を探している、アジアに進出したい、売り込み先リストはないか、このマーケットデータはあるか、こんな特集はないか等々…。昨年に比べて明らかに違いました。
情報が流れればモノが動きます。メーカー卸など業界の川上だけではなく、小売店の方も相談してくるのは、消費者にも何か動く気配があるからでしょう。
景気については悲観的ですが、ジャパンプレシャス編集部にとっては、今年のジュエリー業界は面白そうなことがありそうだと、期待させるIJTでした。
(T.I )