-宝飾市場、ようやく回復の兆し見える-
宝飾品市場は1991 年のピーク時に3 兆円を超える規模であったが、2009 年現在では3 分の1 以下に落ち込んでいる。2008 年秋の世界的な金融危機以降、贅沢品である宝飾品に対する消費マインドは他の消費財と比較しても更に低下してきた。2009 年全体で見ると、百貨店や宝石専門チェーン店の落ち込みが大きい。市場全体の2 割近くを占めるブライダルジュエリーについても婚姻件数の減少や単価の落ち込みによって市場は縮小した。
■注目すべき動向
宝飾品の単価が落ち続けている。ファッション業界におけるファストファッションの流行や、世の中のデフレの影響もあり、消費者の価格に対する感覚は益々厳しくなり、購入単価は大きく下落した。
小売企業も売り上げを確保するために、10K やPt585 などの低品位の地金商品や、キュービックジルコニアや小粒の半貴石の低価格商品を投入するなどした結果、さらに単価が下落し続ける悪循環に陥っている。これに追い討ちをかけているのが、還流市場の拡大である。今まで日本で販売されてきた消費者の宝飾品市場在庫(いわゆる箪笥在庫)は20 兆円に上ると推定され、買取業者の出現によってこれらの宝飾品が市場に流通し始めた。これにより、ダイヤモンドや色石、地金の材料取引単価は大きく下落、また中古品が市場へ流通し始めたこと等によって、店頭価格を押し下げる結果となっている。
■注目すべきチャネル
2009 年は殆どのチャネルが前年割れをする中で、通販チャネルだけが大幅な伸びを示した。これはインターネットによる宝飾品販売が伸張したためである。アメリカでは宝飾全体市場の1 割がインターネットチャネルだと言われている。
日本はまだそこまでではないにしろ、若者を中心に“ネットで宝飾品を買う”ことに対して抵抗のない世代が増えてきている。平均単価は、店頭販売に比べて安く、数千円~1 万円程度のものが中心であるが、中には希少石のついたジュエリーなど数十万円のものも販売されるようになってきた。また、オークションでの販売も人気である。
■将来予測
2010 年には富裕層による高額品購入も徐々に出てきており、単価の下落もほぼ底を打つとみる。また、2010 年以降は贅沢品に対する消費マインドも回復し、市場は緩やかに回復基調を辿ると予測する。
今後、宝飾品小売市場に影響を与えるプラス要因としては、団塊世代の退職金による消費増、ヘビーユーザー増加による客単価の上昇、メンズジュエリー市場の拡大、外国人観光客による消費増、宝飾品再流通市場の拡大が挙げられる。
一方、マイナス要因としては、消費者の宝飾品離れ、少子高齢化等を背景としたブライダル人口の減少によるブライダルジュエリー需要の減少、宝飾品保有数の過多による不要感や、若年層を中心とする素材や品質にこだわらないアクセサリーユーザーの増加が挙げられる。
