■今後は緩やかに回復か
ここまで暗いニュースが続いてしまったが、ドバイの消費市場の将来に関して言えば他地域と比較すればまだ明るいと見ている。ドバイには200ヶ国を超える国籍の人々が暮らしているため、同国は既にヨーロッパ、アジア、アフリカの経済・文化面における交流の場として確固たる地位を築いており、そういった意味では同国に取って代わる市場が見当たらないためである。
例えばイランやアフリカの富裕層は、パリやロンドン、ニューヨークに行きたくても、渡航が制限されているためビザの取得が容易ではない。また、世界最大の石油産出国であるサウジアラビアでは敬虔なイスラム教徒が多く、イスラム国家以外への旅行を嫌がる傾向が強い。
更には、礼拝を行うモスクが見つからないとか、ハラール(イスラムの正式な食肉処理の方法)で調理された食事が見つからないというのも、他地域への旅行が敬遠される大きな理由である。
また、ドバイが属するアラブ首長国連邦(UAE)にとっては、今回の経済危機の影響が比較的少ないと言われている。もともと資産価値がゼロに等しいような土地(砂漠)を、他人のお金で開発し販売していた仕組みから考えても痛手は少ないと分析できる。
例えば、ドバイに1日滞在するだけで、日本ではめったに見ることのない高級車を目撃することは未だに容易であるなど、現地の様子からは経済危機の影響があまり見受けられない。またドバイの隣国で、世界でも最も裕福な国家の一つであるUAEのリーダー、アブダビからの経済支援が始まっており、今後は少しずつ落着きを取り戻すものと期待されている。
(右)からゴールドスーク
(左)まで続く巨大ショッピングモール
現地取材:
中東地域への商品の企画、開発、デザイン及び販路開拓サービス
株式会社フローディア
取締役 須賀秀行 氏
(編集部注)
記事掲載半年後の2009年11月25日、ドバイの経済危機が露呈した「ドバイショック」は世界を震撼させることになった。
「ドバイ・ショック」とは、ドバイ首長国が政府系の投資持ち株会社ドバイ・ワールドと、その不動産子会社のナヒールの債務(約600億ドル、約5兆円)返済を一時凍結要請したために、債務不履行の懸念が強まり、他の新興国企業の資金繰りにも不安感が一気に広がったこと金融不安。
アブダビ首長国が250億ドルを資金援助したために、ドバイはなんとか当面の危機をしのいだ。
1月になって何事もなかったかのように、ドバイに世界一高いタワービル「ブルジュ・ハリファ」が完成したというニュースが流れている。