ジュエリー専門情報誌:JAPAN PRECIOUS(ジャパン・プレシャス) (株)矢野経済研究所
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プレシャスWebマガジン一覧 > 2017年03月17日

再録:2013年のパワーストーン小売市場は424億円(続き)

2010年がピークだったパワーストーン市場

 

1989年という年は、贅沢品に課税されていた物品税が、消費税の導入に伴って廃止された年でもあった。ジュエリーの場合37,501円以上は15%の税率が課せられていたが、物品税廃止後は課税業者の登録もなくなり、バブル時代への突入もあって異業種からのジュエリー参入が相次いだ。

現在のように、誰でも気軽にジュエリーやパワーストーンの販売ができる時代がやってきたのである。

 

1990年代始めにバブルが崩壊すると、90年代を通じてジュエリー業界は「白の時代」といわれるほどプラチナやホワイトゴールドが売れ、後半は「銀物」と呼ばれるシルバーアクセサリーの人気が高まった。

色を忘れたジュエリー業界の間隙を縫うかのように、1994年に創立したストーンマーケットが瞬く間に全国展開していったのである。ストーンマーケットの伸長はパワーストーン市場と軌を一にしており、現在もガリバー企業として市場をリードしている。

 

1995年にはオウム真理教事件が起こり、カルト宗教的なムーブメントは一時期下火になったが、より手軽なヒーリングを実現するパワーストーン市場はかえって拡大した。

2000年代に入るとインターネットの普及でパワーストーンを販売する個人事業主が激増し、様々な関連書籍が発行されるようになった。2000年代中盤からテレビ番組が後押ししたスピリチュアルブームの影響も大きい。

 

ジュエリーとの最大の差は商業的なパワーストーン名やフォールスネームがまかり通り、処理についてもそれほどこだわらないことが多く、ラブラドーライトをムーンストーンとして販売するなど、鉱物の種類が違ってもまかり通ることがある。

2009年にはネット上でパワーストーン業界を揺るがす一大事件が起こった。

あるユーザーが、販売されているパワーストーンの真贋・処理に疑問を持ち、「本当は怖い天然石のはなし」という告発ブログを立ち上げ、手に入れた石を自分で鑑別機関に持ち込んだ結果について、業者とのやりとりを実名で記したのだ。

ブログ主の主張はAという石にBというパワーがある以上、Cという石をBとして販売するのは問題がある、というもの。ほぼすべての業者が仕入れた石を鑑別に出さずに販売しており、ブログ主が鑑別結果を示しても「業界の慣習だから」と逆切れされたという内容だった。

ブログの内容に便乗した無関係な人間が業者にクレームを付けて恐喝まがいな行為をする事件も起きたようだ。

パワーストーン愛好者からは「パワーストーンに鉱物的な議論を持ち込むのは野暮」という見方もあったが、その後鉱物名と商標名(パワーストーン名やフォールスネーム)や処理の表示の情報公開がいくらか進んだ。

また抜き取り鑑別のために持ち込まれるパワーストーンが増えて、鑑別機関が悲鳴をあげるようになっている。

 

パワーストーンとは特別な力を持つ宝石・鉱物類を指し、愛好家はそれを身に着けていると護られる・良い結果がもたらされると信じている。着ける人が信じていればどんな石でもパワーストーンということになるのだが、ここでパワーストーン市場を指す場合として①パワーストーンとして売られている宝石品質ではない貴石・半貴石とその製品、②宝石以外のミネラルや鉱物のうちパワーがあるとして販売されているもの、③天然石ジュエリーとして売られている宝石品質ではないもの、④宝石品質だが守護石などパワーストーン的に販売されているものと定義しておこう。

 

ジュエリー市場においてもカラーストーンの品質の低下が見られる昨今、宝石品質の境界線があいまいだが、希少性といいかえてもいいかもしれない。ただ希少性となるとミネラル・鉱物の中にこそ希少な石が発見されるので、コマーシャルベースでの希少性と定義しなおしても良い。

 

パワーストーンユーザーの中には綺麗な天然石を楽しむ人も多く、大半は気軽な気持ちで身に着けている。一方では石の持つパワーを厚く信じている人ももちろん存在する。

 

パワーストーン市場の今後

 

石にパワーを感じるのは人間の根源的な習性であり、人々がパワーストーンを求めるのは閉塞感のある世相と密接な関連がある。

一時期雨後の筍のように林立したネットのパワーストーン業者もだいぶ淘汰され、実店舗を持つ業者のサイト、ブレスレットなどを組み上げるデザイナー的な個人業者サイト、占い・ヒーリング業の一環としての販売サイトに分かれてきている。

 

パワーストーン市場のピークは2009年から2010年で、その後インド・中国系の色石業者が参入して販売価格のダンピングによって小規模の販売業者にダメージを与えた。また悪質な開運商法業者が乱立して社会的な問題となり始め*1、オカルト的な要素が強まったことに嫌気を示して撤退した業者も多い。

 

実店舗のパワーストーンショップは大半はライト感覚なユーザーだが、パワーストーンと宝石ユーザーがクロスして、次第にパワーストーンが高額化・高品質化する傾向も出てきている。

 すでにメーカーや宝石店、アクセサリーショップでもパワーストーン的な商品が置かれ始めているように、ジュエリー業界やアクセサリー業界とのコラボレーションが始まっている。また数珠一辺倒だった商品内容もファション性を持ったパワーストーン製品が台頭してきている。

 

今後はそうしたコラボレーションによって、パワーストーン市場が活性化し、より一層の広がりを持つことが期待される。

 

 

 

 

*2

■ミネラル関連イベントの草分け

「東京国際ミネラルフェア」

 

ヒーリング効能やフォールスネームを排除

 

今や全国各地で年間20本以上のミネラル関連イベントが行われているが、中でも東京国際ミネラル協会が主催する「東京国際ミネラルフェア」は、1988年に日本で初めて行われたミネラルショーとして長い伝統と格式を守っている。同フェアは「地球を楽しむ」と題し、ミネラル(鉱物・化石・ジェム・隕石など)の分野で一人でも多くの方々に自然の魅力に接してもらい、自然科学の素晴らしさ、楽しさを提案するとともに、これら学術および教育的標本の、適正な価格での国内流通を促進することを目的として27年目を迎え、毎年2万人以上の来場者で賑わう。

同協会の代表理事の大島仁氏は広告・イベント畑の出身で、会場である東京・新宿の小田急第一生命ビルのスペースセブン・イベント会場の活性化を図る目的でミネラルフェアを立ち上げた。第1回の反響はマニアにとって、それまで博物館にしか見ることのできなかった鉱物や化石などに、直接触ってしかも買うことができると画期的なものだった。

他のミネラル関連イベントと異なり、石を商売にした主催者ではなく、厳正中立な立場から「出展社にも来場者にも楽しんでもらえる」ことを主眼に運営されているのもポイントだ。これまで規模を拡大するチャンスは何度もあったが、出展社の顔と商品が把握できる範囲にこだわり、やみくもに規模を拡大することをせずに開催を継続してきた。

東京国際ミネラルフェアの特徴は、適正な商品と価格を維持するため、専門家が会場を巡回して出品物をチェックしていることだ。特にパワーストーンブームになってからは、ヒーリング効果を謳ったメッセージや、石にパテントを取得した特別な名前をつけて付加価値を高めて価格を上げるといった行為も排除しているという。

パワーストーンブームの影響については、現在は数年前より落ち着いており、協会がめざすミネラルフェアのあり方に沿った環境となってきているようだ。

2002年からは10月に自然の産物を素材とした一点もののオリジナル作品を展示した「国際ミネラルアート&ジェム展(IMAGE)」も開催するようになった。2015年の「第28回東京国際ミネラルフェア」は6月5日から9日まで開催される。

 

問 東京国際ミネラル協会・TIMAショールーム

Tel:03-3342-9693

URL: http://www.tima.co.jp/

 

*2

■ブレスレット・数珠に関わる悪質な開運商法

 

 スピリチュアルブームが後押ししたパワーストーンブームに伴って、悪質な開運商法も横行し始めた。すでに2003年には「運気が上がる財布」を販売した業者の広告に記載された体験談が創作だったという理由で景品表示法の優良誤認による排除命令があった。2006年には全国の消費生活センターに寄せられた開運商法関連の苦情は3,000件を超えていた。一方国民生活センターには「ブレスレットや数珠に関わる相談が2007年から急増し、契約購入金額も高額化する傾向があった。

2009年5月と8月には経済産業省が開運ブレスレット販売業者4社に対して業務停止命令を下し、社名や問題となった広告内容を公表している。2012年には国民生活センターが注意喚起。開運ブレスレットや数珠を購入した消費者が、業者に効果がないとクレームつけると除霊や運気向上を名目に、次々と高額な開運グッズや祈祷を売りつける事例が目立つようになった。また各地の開運商法業者に対して排除命令や業務停止命令の他、詐欺や特定商取引方違反で逮捕される者も出た。

2014年12月には開運商法で得た所得を隠したとして経営者や国税局OBが脱税の疑いで逮捕されている。2011年の東日本大震災後の不安な心理に加えて、摘発の厳しい振り込め詐欺から乗り換えた業者も増えているという。

 

 

 

 

ミネラル関連イベントの草分け

「東京国際ミネラルフェア」

 

ヒーリング効能やフォールスネームを排除

 

今や全国各地で年間20本以上のミネラル関連イベントが行われているが、中でも東京国際ミネラル協会が主催する「東京国際ミネラルフェア」は、1988年に日本で初めて行われたミネラルショーとして長い伝統と格式を守っている。同フェアは「地球を楽しむ」と題し、ミネラル(鉱物・化石・ジェム・隕石など)の分野で一人でも多くの方々に自然の魅力に接してもらい、自然科学の素晴らしさ、楽しさを提案するとともに、これら学術および教育的標本の、適正な価格での国内流通を促進することを目的として27年目を迎え、毎年2万人以上の来場者で賑わう。

同協会の代表理事の大島仁氏は広告・イベント畑の出身で、会場である東京・新宿の小田急第一生命ビルのスペースセブン・イベント会場の活性化を図る目的でミネラルフェアを立ち上げた。第1回の反響はマニアにとって、それまで博物館にしか見ることのできなかった鉱物や化石などに、直接触ってしかも買うことができると画期的なものだった。

他のミネラル関連イベントと異なり、石を商売にした主催者ではなく、厳正中立な立場から「出展社にも来場者にも楽しんでもらえる」ことを主眼に運営されているのもポイントだ。これまで規模を拡大するチャンスは何度もあったが、出展社の顔と商品が把握できる範囲にこだわり、やみくもに規模を拡大することをせずに開催を継続してきた。

東京国際ミネラルフェアの特徴は、適正な商品と価格を維持するため、専門家が会場を巡回して出品物をチェックしていることだ。特にパワーストーンブームになってからは、ヒーリング効果を謳ったメッセージや、石にパテントを取得した特別な名前をつけて付加価値を高めて価格を上げるといった行為も排除しているという。

パワーストーンブームの影響については、現在は数年前より落ち着いており、協会がめざすミネラルフェアのあり方に沿った環境となってきているようだ。

2002年からは10月に自然の産物を素材とした一点もののオリジナル作品を展示した「国際ミネラルアート&ジェム展(IMAGE)」も開催するようになった。2015年の「第28回東京国際ミネラルフェア」は6月5日から9日まで開催される。

 

問 東京国際ミネラル協会・TIMAショールーム

Tel:03-3342-9693

URL: http://www.tima.co.jp/

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