ジュエリー専門情報誌:JAPAN PRECIOUS(ジャパン・プレシャス) (株)矢野経済研究所
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プレシャスWebマガジン一覧 > 2010年01月25日

■急成長するメンズジュエリー市場2008年

              Chesterfield Bangle/ TOMAS Z DONOCIK

(ジャパンプレシャス51号2008Summer掲載)

何故今メンズジュエリーなのか

 宝飾業界では、メンズジュエリーの売上が拡大しているという声がしばしば聞かれるようになった。これは今まで女性を中心として成長してきたジュエリーマーケットが曲がり角に来ており、代わってメンズジュエリーのメイン購買層である20代~40代男性がジュエリーを付けることに抵抗のない世代になってきたからである。

 女性のジュエリーの保有個数は弊社調査によると、20代~40代女性の平均で12.1個。20代で9.5個、40代で15.5個、平均して12個以上もジュエリーを持っている。 
 もちろんこれは持ってない人も含めてなので、ジュエリーが好きないわゆるへヴィーユーザーは20個も30個も持っている。これでは“もうお腹いっぱい”という人に無理やりごちそうを食べさせているようなものである。


 

 一方、弊社が実施したメンズジュエリーアンケート調査(詳細は後述)によると、20代以上の男性のジュエリーの保有率は41%。日本には約2,840万人男性サラリーマン(2007年,国税局調査)がいるが、保有率が5%でも上がれば1000億円以上の市場の創出となる。また1度購入した男性のリピート率も高いという調査結果なので、今後は「如何に手にとってもらう機会を作るかがポイントとなる。

 

 

■メンズジュエリーの市場規模は493億円

 さらに調査結果では、“男性はジュエリーショップに入るのに抵抗がある”ということと、“あまり接客をされたくない”という声も聞かれた。さらに“プラチナ素材を好む”ことや、“インターネットなどでの情報収集を積極的に行う”実態も見えてきた。これらのことから、今後メンズジュエリーを販促していくために女性とは違ったアプローチも必要となるだろう。
 
 弊社では、企業取材や消費者調査などからメンズジュエリー市場規模を算出した。これによると、2007年は493億円(全宝飾市場規模の4.1%)となっており、宝飾市場全体が前年比5.8%減少する中で、9.8%と2ケタ近い増加を見せた。2008年は阪急メンズ館のオープンなどもあり、さらに市場は拡大するだろう。

 


■ メンズジュエリーの抵抗感の無い世代が消費の主流に

 消費者層の変化も大きなものがある。消費の主役である30代~50代男性ではジュエリーに対して昔ほどの抵抗感は無い。これは彼らが若いころにファッションとして装身具をつけることを経験してきたからである。 


■メンズジュエリーのターゲットは?

 GE Moneyが先ごろ発表したが「全国のサラリーマン500名に対するインターネット調査」によると、サラリーマン男性の一ヶ月当たりのこづかいの平均は近年下がり続けており、全体平均で46,300円となっているそうだ。特に子供のいるお父さんの小遣いは何と39,300円でありこれではジュエリーはおろか、趣味のものも時には昼食代すら節約しなければならないことも起こりえる。ちょっと飲みにいくか、パチンコをするか、趣味のものでも買えば終わりである。好きなゴルフもなかなかいけないという人も多い。

 約2,840万人男性サラリーマン(2007年)の平均年収は566万円との事(国税庁データ)。月額だと手当て含んで39万円となり、これに年間100万円近くの賞与が出る。これは3年連続のマイナスとなっているがやはりここからメンズジュエリーの費用を捻出するというのは難しい。

 それではメンズジュエリーマーケットのターゲットとしてどこを狙っていけば良いのか?答えは高額所得者である。下図は年収別のファッション関連の支出をまとめたものであるが、年収の一番低い層と一番高い層の差を見ると男性の方が大きい。

女性で3万円と10万円で3倍強、それが男性では1万円と6万円で6倍強にまで差がついている。つまり女性は必需品的におしゃれをするが、男性はある程度の余裕がでて初めておしゃれをするということである。

 つまり男性にとっておしゃれは一番後回しである。特に年収階層の最も高い783万円以上所得層は極端に支出が大きくなる。これは外資系の30代、大企業の40代くらいからの年収になり、メンズジュエリーを販売するならその消費者セグメントをターゲットという以外無い。

 


 

 

また、これはさらに絞って装身具ということで見た図である。これを見ると装身具では一番年収の高い層でないとほとんど買わないという形になっている。 

 

■退職消費は最大の販売チャンス 

 人生の中で退職金はジュエリー購買にとって大きなチャンスだといえる。特に団塊世代の退職が増加するここ数年はジュエリー業界にとってまたとないチャンスであろう。

 普通の男性サラリーマンの退職金平均が2490万円。ただこれからは終身雇用で勤続年数が長い人が少なくなっているので、退職金額も減少していくのではないかと思われる。団塊世代向けのPGIのキャンペーン“サンクスデイズプラチナ”はまさにそれを狙っているが、寺尾あきらのTVコマーシャルを見ても、メンズジュエリーでなく妻へのプレゼントとして女性向けのジュエリーの販促となっている。高い予算を投じる広告効果を考えるとどうしても女性をターゲットにせざるを得ないという業界の状況を反映している。

 

■他業界でもメンズ市場は拡大

 ここで他業界のメンズ市場を見てみる。今まで男性では考えられなかったエステや化粧品といった市場も女性だけのものでなくなってきておりメンズに関する市場は伸びているといえる。
もちろんメンズコスメ市場といっても突然出現したわけではなく、化粧品市場はもともとあった。60年代、70年代にポマードやチックといったアイテムで、マンダムとかヴァイタリスのようなヒット商品もあった。しかし今はDHCなどがコンビニで売るほど身近なものになってきたので、当時とは市場環境は大きく違ってきているのである。
 

 

 ここで弊社が実施したメンズエステに関する消費者アンケートの調査結果を紹介する。これはメンズエステに興味がある383名の男性にヒアリングしたものである。
調査結果では10-50代男性でメンズエステに行ったことがある人は1/4の24.5%いるということである。思ったよりも多いという印象を受けるが、最大手のダンディハウスの美顔コースで6300円だということで価格的にも抵抗感がなくなっているのであろう。

 また、メンズエステへの抵抗感として、お店に入りづらい、過剰な接客が嫌だといった意見も聞かれる。女性への積極とはだいぶ違うようだ。さらに男性はウィンドウショッピングといったことが少なく、インターネットなどであらかじめ情報を収集し、購入したいものに目星をつけているケースが多いようだ。 

 

 ■ メンズ売り場をリードする伊勢丹メンズ館、阪急メンズ館

 伊勢丹新宿本店メンズ館の前身である「男の新館」が誕生したのは1968年9月。当時、紳士物だけを販売する別館を設けた百貨店は世界にも例がなかったという。伊勢丹は2003年にリモデルを実施、「伊勢丹メンズ館」として生まれ変わった。そこには靴やかばん、香水・スキンケア用品、喫煙具などの紳士洋品・雑貨にまじって男性向けジュエリーコーナが堂々と売り場を構え、“男のこだわり”を満足させる店として人気を博している。


 ジュエリーに関しても以前は素材はシルバーが中心で、値段は高くても数万円程度が常識だったが、伊勢丹メンズ館ではダイヤやゴールド使いのアクセサリーを求める人が増加。2005年に期間限定でカルティエを特集したところ、30万円以上の高価なメンズジュエリーに人気が集中した。 

 西でも2008年2月にオープンした阪急百貨店メンズ館が話題となった。初ブランドが多くお目見えし、「ルイヴィトン」、「ブルガリ」「ティファニー」の世界初のメンズ専門ブティック、セレクトショップの「クアドロフェニア」(アンダーカバーやヒステリックグラマーなどを編集)があるほか、会員専用ラウンジもある。広さは伊勢丹メンズ館の面積の1.5倍を有し、初年度売り上げ目標250億円(伊勢丹メンズ館は400億円以上)を目指している。

 

 市場が拡大してきているとはいえ、「身に付ける習慣がない」「ジュエリーに興味がない」などの理由で、まだ購入に踏み切っていない消費者層が多いメンズジュエリー市場。しかし、1度手にするとリピート率が高く、次の購入時にはグレードの高いものに目が向きやすくなる。まずは「手に取るきっかけ」「1度買って身につけてもらう」機会をいかにして創出するかが第一段階となる。そして「店頭で商品を見て購入」する人が多いことから、店頭でどのようにディスプレイをするか、他の商品に埋もれずに目を引く商品に仕上げるか、それが今後のメンズジュエリー販売を拡大する鍵になる。
 

今こそ業界を挙げて新市場開拓をするべきタイミングなのかも知れない。

 

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