変化の激しい環境下、プラチナによる価値創造が持続可能なブランドビジネスを推進
差別化と高利益率の可能性を持つプラチナはジュエリーのブランド戦略における中心的存在
プラチナ・ギルド・インターナショナル(PGI)は、年次報告書「プラチナ・ジュエリー・ビジネス・レビュー(PJBR)」を発表した。プラチナが宝飾店とその顧客に持たれている格調高いイメージを強調。プラチナならではのユニークな特性は、消費者の需要を支え続け、特に富裕層にアピールするブランド・コレクションの展開を通じて、業界の利幅をさらに拡大させている。
プラチナ・ギルド・インターナショナルCEO ヒュー・ダニエルは次のように述べている。
「PGI は、ジュエリー業界においてプラチナが際立った役割を果たすよう尽力しています。この目標を達成するために、PGIはパートナー社と協力して、顧客の心をつかむブランド戦略にプラチナを組み込んできました。消費者の購買意欲を高めるには、ブランドやブランド・コレクションにまつわるストーリーを構築することがますます重要になってきています。宝飾店、メーカー、デザイナーが、プラチナのユニークな特性を活かしてビジネスを展開するケースが増えています。」
プラチナはそのユニークな特性と歴史的経緯から、現在では、市場全体よりもはるかに速い成長が予測されるブランデッド市場セグメントでの利益成長を牽引する立場にある。PJBRでは、ラグジュアリーブランドから市場をリードする小売チェーンまで、プラチナの耐久性、自然な白色、情緒的な意味や特別な想いの表現といった他の貴金属とは違う特性を理解し、商品提案や製作現場での中心に置いていることがわかる。さらにアイコニックなブランドも、最も複雑で洗練されたデザインに対応できるプラチナの高い性質を熟知している。
ブランド化の普及とブランドコレクションが積極的に展開されたことは、2021年のプラチナの主要な市場における業績を見ても明らかである。プラチナの特性を生かしたブランド化はアフターコロナ時代に向けて価値を生み出し、持続可能な事業展開を行うための貴重な戦術として機能しているといえる。
市場別プラチナ・ジュエリーのレビュー
【日本】
ジュエリー市場全体の中で、2021年の日本の小売総額は前年比17.4%増と回復。ジュエリーに使用されたホワイトメタルの中でもプラチナが最も好調となり、小売販売量は、前年比11.6%増、2019年比0.4%増となる56万8千オンス(17.6トン)に達した。これはアセットジュエリーやブライダル・ジュエリーの販売が好調であったことに加え、プラチナの高純度化の傾向が続いたことが大きく寄与している。
日本のプラチナ・ジュエリー業界の力強い回復は、PGI主導によるブランドコレクションや消費者セグメント別施策の貢献が挙げられる。例えば「プラチナ・ウーマン」キャンペーンは、より多くの若い女性を新たなプラチナ・ジュエリー消費者候補として育成することに大きく役立っている。「プラチナ・ウーマン」コレクションは手の届きやすい価格で若い層に魅力的なプラチナ・ジュエリーを紹介し、有名芸能人がブランド・アンバサダーを務め、国内の主要ジュエリーブランド4社の実店舗ならびにオンラインストアで販売されている。本コレクションは2021年には販売額が6倍となり、パートナー企業も増加。デザインの型数も60以上に増えている。
2022年は、コロナワクチン接種を受けた消費者は宝飾店を訪れることへの抵抗感が薄れ、プラチナ・ジュエリーの売上は緩やかな増加を享受すると考えられる。PGIは、国内の主要なリテーラーがプラチナにコミットする動機をさらに高めるために、ブランドコレクションやその他の共同施策を発展させていく方針である。
【中国】
2020年、ポストコロナの中国ジュエリー市場の回復はプラチナがリードしたが、2021年にはゴールドが追いつき、他のカテゴリーから大きなシェアを奪取した。プラチナ・ジュエリーの総製造量は前年比23%減となった。
中国におけるプラチナ小売総額の3分の1以上を占めるPGIのパートナー社では、魅力的なデザインを革新的な技術で製作したブランドコレクションの価値を訴求するなど多角的な戦略により、前年比9%と、総製造量の落ち込みに比べて大幅な落ち込みは軽減された。2021年は、ブライダルから愛のギフト、レディース、メンズ、そしてユニセックスまで、すべてのパートナー社においてブランドコレクションの量と質の両方が成長を続け、小売店への波及効果を生んでいる。
PGIはまた、裕福で成長を続けているZ世代をターゲット消費者層として定め、従来の宝飾店を超えて高級マルチレーベル店を含む新しい小売チャネルで展開するため、新進気鋭のファッションデザイナーとコラボレートしたプラチナ・ジュエリー・コレクションを打ち出し、Z世代に戦略的にアプローチしている。
2022年はコロナ禍によるソーシャルディスタンス規制や都市封鎖が続き、消費者心理が悪化しているものの、プラチナ・ジュエリーは群雄割拠の市場で収益性と差別化を図る上でたゆまぬ努力を続けていくものと思われる。
【インド】
インドの宝飾品ビジネス全体は、新型コロナウイルス感染流行の第二波によって第2四半期の重要な婚礼シーズンが大打撃を受けた後、第3四半期に立ち直り、その勢いは第4四半期まで続いた。第4四半期は、好調な婚礼シーズンと伝統的に宝飾品の購入を促す一連の祭事により大幅な成長が見られ、プラチナは2021年、PGIの戦略パートナー社にとって最も成長率の高いカテゴリーとなり、前年比30%増という結果となった。
「プラチナ・デイズ・オブ・ラブ」や「エヴァラ」、「メン・オブ・プラチナ」といったブランドコレクションの開発により、プラチナブランド・ポートフォリオは、インドの若い消費者の願望を刺激することで、これまで満たされていなかったニーズに対応することができるようになった。
プラチナが持つ強い情緒性とイメージ、個性的なブランドストーリーによって、消費者にとって必要かつプレミアムな価格を出しても良いというモチベーションになり、その結果、高い利幅と在庫回転率を実現している。
2022年には、PGIの戦略的パートナー社は力強い成長の勢いを維持し、コロナ前の水準に戻ることが予想されている。
【アメリカ】
アメリカは2021年に優れた小売実績を上げ、その中でもジュエリーが突出しており、業界内においてはプラチナ・ジュエリーがさらに好調で、小売売上高は前年比15%増となった。PGIの戦略的パートナー社はプラチナ販売個数で28~42%の成長を記録し、これは2020年を上回るだけでなくコロナ前の売上も上回る結果となっている。
ブランドコレクションの展開は、プラチナ・ジュエリー市場が持続的に成長する一助となっている。Le Vianでは、高級ジュエリーのみならずメインコレクションでもプラチナの存在を拡大し続け、Jared’sやMacy‘s他、数百の独立系小売店で型数を増やし、ドル売上が前年比95%増に達した。米国と日本のPGIが共同で立ち上げ、日本から輸入したプラチナ・ジュエリーによるブランドコレクション「プラチナ・ボーン」は5年目を迎え、販路に高級百貨店のNeiman Marcusが加わり、またコレクションラインを新商品で拡充するなど、特筆すべき年となった。
徐々に成長しているアメリカ市場における宝飾品販売の見通しは好調で、PGIとリテーラーは、プラチナの売上が緩やかながら継続的に増加すると予想している。
プラチナはその本来の価値に加え、心に響くブランディング戦略、革新的なデザインと技術を取り入れることで、プラチナならではの合理的かつ情緒的なビジネスドライバーのユニークな組み合わせを提供している。ジュエリー業界にとっては、そのポテンシャルを最大限に引き出す魅力的なビジネスチャンスであると言える。
「プラチナ・ジュエリー・ビジネス・レビュー」について:
「プラチナ・ジュエリー・ビジネス・レビュー(PJBR)」は、PGI が活動拠点を置く主要 4 か国(⽇本、中国、インド、アメリカ)を対象に、独⽴調査機関による宝飾⽤プラチナ需要、⼩売販売、業界トレンドの調査結果を、PGI が年次報告書として編纂したもの。この調査は、⾃動⾞触媒に次いで世界第⼆位の消費量を誇るプラチナ宝飾⽤ 需要の実績を明らかにするものであり、上記 4 か国で製造業者および⼩売業者を対象に実施された
Platinum Woman(日本)
Pt Moment(中国)
Platinum Born(アメリカ)
Evara, Men of Platinum, Platinum Days of Love(インド)