日本真珠輸出加工協同組合は、最高の品質に位置付けられる真珠を内外に明確な形で示すことに向け2008年5月から「特選真珠」の認定事業を実施、また2010年8月より「特選真珠」に対して組合独自の認定証の発行を行っている。日本真珠輸出加工協同組合では、8月26日から28日まで東京・有明の東京ビッグサイトで開催されるジャパンジュエリーフェア2015(JJF)に出展、認定証が付された「特選真珠」を展示する。ここで「特選真珠」の品質及び価値の高さに触れることができる。
(日本真珠輸出加工協同組合のブース番号はJ-33)
■「特選真珠」認定事業の背景と目的
日本真珠輸出加工協同組合は真珠の入札取引を基幹事業としており、これまで国内における真珠の流通取引面に多大な役割を果たしてきた。入札事業では毎月の通常入札会の開催に加え、3月と10月には市場性の高い高品質真珠を主体とした特別入札会もあわせて開催している。
こうした中、2008年5月から「特選真珠」の認定とその入札事業を開始した。この事業を行うこととなった背景には、近年真珠市場にみられる花珠真珠等の呼称により、一般消費者にとって最高品質の真珠かどうかを判断することがより難しくなっているという状況があった。このため日本を代表する真珠のプロ集団である組合が、真珠の中でも最高品質の範疇にある真珠を選び抜き、それに「特選真珠」の称号を与えることで最高品質の真珠であることをわかりやすい形で示す、という目的のもと事業を開始した。
そして2010年8月より「特選真珠認定証」を発行することとなった。これは認定証を発行することで、「特選真珠」=プロが認めた最高品質の真珠であること及びその価値の高さをより明確な形で内外に訴えていくことを目的としている。
■「特選真珠」の認定
「特選真珠」の認定については、認定を希望する組合員企業は各月の入札会に商品を出品、それを真珠の評価についてはプロ中のプロである組合の役員が複数で目視により審査、合格したものについて「特選真珠」として認定してきた。また、認定された商品は通常の入札とは別に展示し入札取引が行われる。なお「特選真珠」の全てには、一連番号が付された特選真珠タグLと特選真珠タグS、特選真珠カードを交付している。また、タグおよびカードの一連番号は全て組合で管理、認定を受けた組合員企業およびそれを入札取引でどの組合員企業が落札したかなどを辿ることができるシステムとなっている。
■「特選真珠」の価値
「特選真珠」の対象となるのはアコヤ真珠とクロチョウ真珠、シロチョウ真珠である。これらの真珠の中でも高品質真珠とされるものは、一般的には生産量の5%前後といわれている。こうした供給量の少ない素材を組合員である各企業はさらに厳選してネックレスに仕上げるなど製品化、それらが特選真珠の認定を受けるため毎月の入札会に持ち込まれる。そして審査に合格し認定を受けたものだけが入札会の「特選真珠」コーナーに展示され入札が行われる。
「特選真珠」の対象となる商品の品質水準について、組合では真珠のプロの目からみてもかなり高いハードルを設定している。このため毎月の認定依頼数も限られ、言い換えれば品質に相当の自信がなければ組合員は認定依頼をしない状況ともなっているため、実際の「特選真珠」の認定数としてはネックレス(40センチサイズ)の場合10~20本前後にとどまっている状況である。ちなみに、平成20年度から平成26年度間において「特選真珠」に認定されたネックレスはアコヤ真珠に限っていえば年度平均で190本でしかない。農林水産省の漁業・養殖業生産統計年報で公表されている直近の海産真珠の生産量から推定したアコヤ真珠ネックレスの供給本数はおおよそ55万本だが、この供給本数に占める「特選真珠」の比率は僅か0.03%に過ぎず、その貴重さと希少性が伺える。
■「特選真珠認定証」の内容
「特選真珠認定証」には、特選真珠と認める文言をはじめ特選真珠のロゴのほか、真珠の種類(対象はアコヤ真珠、クロチョウ真珠、シロチョウ真珠)、品目、サイズ(mm)、長さ(inch)、目方(momme)を記載、そして認定証1点ごとに交付したタグ及びカードの一連番号と連動した認定証番号を付与する形で発行している。なお「特選真珠認定証」は二つ折のA4サイズ。
■事業の成果
日本真珠輸出加工協同組合がJJFに独自ブースを出展し、「特選真珠」のPRを対外的に開始したのは2009年からである。これまでの展示では、ブース来訪者は多数に及び、また出品商品の品質の高さに対しては来訪者から一様に驚嘆の声が聞かれている。そして真珠本来の美しさを改めてアピールできたと同時に、高品質真珠の価値を大きく訴えることができた。
なお過去の出展において、「特選真珠」を目にしたブース来訪者の反応または感想の抜粋は以下の通りとなっている。
○「このような素晴らしい品質の真珠は久しく見たことがなかった。真珠とはこういった美しいものであることをアピールして頂けたことに大いに感謝したい」
○「古くから真珠を扱ってきたが、かつての美しい真珠とはここに展示してあるものを言う。これだけの品質のものを見たことがない消費者は多いと思うし、販売員であっても経験が浅いならば見たことのない人は多いはず。今後積極的に宣伝することで、本当に価値ある真珠を周知してもらいたい」
○「真珠とはこういった品質であるべき。真珠の素晴らしさを再認識した」
○「特選真珠の素晴らしさを認識できた。真珠のイメージ向上そして市場を引っ張る意味でも今後大いに特選真珠を宣伝し訴えてほしい」
○「驚くほどの品質の高さ。これをPRすれば真珠のイメージは一層高まるはず」
○「品質を明確に訴えることのできる認定証の発行は非常に意義が高い。今後に期待したい」
特選真珠タグS