2017年9月1日、株式会社アイデクトが「株式会社ジュエリーアセットマネジャーズ」(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藤野匡生氏)へと社名変更を行った。
同社の創業は2004年。株式会社エムアウトよりジュエリーのオーダー・リフォームを展開する部署として立ち上げられ、2009年8月にエムアウトから分割・独立した経緯がある。
ジュエリーのオーダー・リフォームをメイン事業にした2004-2009年までの5年間を経た後、2010年にリユースジュエリー(再生ジュエリー)の販売、買取サービスの本格化、アイデクトメンバーシップの3施策を打ち出したことで「総合ソリューションのアイデクト」としてのスタンスを確立。2011年に所持しているジュエリーのデータを預かる「マイジュエリーボックス」の展開をスタートし(マーケティングを行いリフォームなどを勧める)、2012年にはセミオーダーブランド「aiStyle」の展開開始、2014年に海外事業もスタートして、現在はマイジュエリーボックスの登録数約22万個、アイデクトメンバーシップ会員数9万6,000人、創業当初3店舗だった店舗も22店舗にまで拡大した。
会社設立10周年を契機にした今回の社名変更は、「セカンダリー市場のインフラ企業」への進化を表明したものになる。
新社名発表会に登壇した藤野匡生氏は、“家庭内在庫のセカンダリージュエリー市場”を
「① 売らない:形見やブライダルリングなどの大事にしている・手元に置いておきたい娘・孫に譲り渡していきたいジュエリー」
「② 一旦取り置き:使用しておらず手放しても良いがそのままになっているジュエリー」
「③ 売る:使用しておらず機会があれば売っても良いジュエリー」
に3分類した上で、セカンダリー市場≠リサイクルジュエリー市場とし、③の活用に偏ったこれまでのリサイクルジュエリー市場のままでは成長が見込めず、①②をジュエリーを楽しむための資産と認識する意識変革のためのアクションが必要であり、直営店のみでの展開では意識変革に至るスピードに限界があり、そのためにも総合ソリューションビジネスから「セカンダリージュエリーのインフラ企業」への進化が必要と説明。同業を増やし、日本のジュエリーシーンを変えていきたいという長期ビジョンも語っている。
同社は2016年11月に、それまで70%の株式を持っていたエムアウトからプライベートファンドであるアント・キャピタル・パートナーズ株式会社へとオーナーが変更され新規事業戦略を策定している。2017年2月に高品質のリユースジュエリーのみを取り扱う新業態店舗「ジュエリーOUTLET GINZA」をオープン(銀座ファイブ1F:レアストーンやユニーク・希少なジュエリーを集約)、3月に70歳以上の富裕層シニアを対象にしたジュエリー・貴金属の整理・受け継ぎ・処分等の相談を幅広く受け付ける新サービス「本社プライベートジュエリーコンサルティング」を開始して公式ホームページも開設。フランチャイズ化も進めており、8月には横浜・元町の老舗宝飾店「CHARMY」と業務提携してインショップスタイルでの買取サービスとリフォームのセミオーダーを行うようにもなった。
現在も展開している店・ブランド名の「aidect」は社名変更後も店・ブランド名として継続して使用する。
3年後の目標はマイジュエリーボックス登録数55万個、アイデクトメンバーシップ会員数15万7,000人、新規直営店5店舗オープン、フランチャイズ100店舗。
フランチャイズはニーズにより形態を変えるなどの対応を行いつつ拡大し、東京オリンピック開催の2020年には株式公開を目指すとしている。
藤野匡生氏は事業の柱を“プランニング”(=顧客のジュエリーの価値を判定する相談業務)とし、これまで業界にあまり見かけられなかった消費者ニーズに応える相談業務に特化したことが同社の優位性となり業界で生き残るポイントになったと話す。
戦略ターゲットを
「① シニア:取得してきたジュエリーが多い/次世代に受け継ぎたい層」
「② 20-60代:自身で取得+受け継いだジュエリー所有(使用していないものも多い)/オーダー指向/ジュエリーをファッションとして楽しむ」
「③ ジュエリーファン:年齢に限らずジュエリー好き=汎用的なデザインでは満足出来ない/コアユーザーで目が肥えている」
の3つに分類し、それぞれのニーズに向けた施策を行う。
シニア層、ジュエリーファンのニーズに応えるものにもなるプランナーの充実に関してはカリキュラムを作り相談専門スタッフの教育・充実に着手。店頭スタッフの15名が完成した知識を持っており、将来的には75名全員に高度な知識・対応を行き渡らせるとしている。
20-60代に向けてはオーダー枠の充実も打ち出し(例:右画像 K10でファッションジュエリー価格のリフォームも出来る)、Pt、K18だけでなくK10(10金)やシルバーも展開し、1粒ダイヤモンドだけでなくメレーや変形石にも対応可能。
ジュエリーファンに向けてはサザビーズやクリスティーズなどオークション企業の出品代行も少しずつ進めており、また、多彩なデザイン・作りでニーズに応えるべくデザイナーや職人のネットワーク化を行っていくとしている。