中国経済の停滞や、世界的な情勢不安の中で行われた香港でのツインジュエリーショーは、心配をよそに141の国と地域から82,000人以上のバイヤーが集まり盛況のうちに閉幕した。
2025年3月2日~6日まで開催されていたAWE(空港側)のダイヤモンド、ジェム&パールショーには125の国と地域から約32,000人のバイヤーが参加し、2025年3月4日~8日まで開催されていたHKCEC(湾仔)の国際ジュエリーショーには133の国と地域から約51,000人のバイヤーが参加した。中国人バイヤーはもとより、今回はASEAN、中東、西ヨーロッパ、北米からのバイヤー数が増加したのが印象的だった。
国際ジュエリー ショーに 9 人のデザイナーが集結した香港のアジア ジュエリー カルチャー デザイン アンド クラフト協会の会長 Gigi Cheng 氏は、「ショーを通じて中東のバイヤーとつながり、新しい国際市場を開拓し、100 万~300 万ドルの売上を目指したい」と述べた。香港の出展者で Hatta New Company の会長 Hatta Chang 氏は、同社はロシア、韓国、中国本土のバイヤーとうまくつながり、売上は昨年の 3 倍になったと述べた。
また今回は特にイスラム教徒に優しい調達体験のサポート強化が実施された。
具体的には会場内に祈祷室を設けたり、地元のモスクへのシャトルバスを運行。イスラム教徒に優しいホテルやレストランのリストを提供したり、香港観光局と協力してガイド付きツアーを手配したりするなど、より多くのイスラム教徒のバイヤーがショーを訪れるよう促すための特別な措置が導入された。
■日本のパビリオンは相変わらず最も人気が高い
空港側のジャパンパールパビリオンや香港島側のジャパンパビリオンはともに大人気で、他国のパビリオンに比べて圧倒的に来場バイヤーで混みあっていた。以前のような大量購入や高額仕入れは少なくなったとはいえ、1日中途切れることなくどのブースでも商談が行われていた。
この理由としては、円安はもちろんあるが、同じ商品を同じような価格で売っている香港や中国の出展社よりも日本の出展社に人が集まっているのは「ジャパンブランド」のブランディングに成功したからである。
ブランディングにはもちろん商品だけでなく、取引の透明性や商品やビジネススタイルへの信頼性も含まれる。
■イベントやセミナーも充実
展示会では、多くの魅力的なセミナーやイベントが開催された。中でも淡水真珠の中心地、諸曁市山下湖のセミナーでは、中国の真珠の中心地におけるライブコマースの戦略や鑑別に対する取り組みが紹介され、興味深い内容となった。
そのほかに、「WONDERLAND: Co-Creating the Future of Luxury and Jewellery 」として新進気鋭のジュエリーデザイナーMr Austy Leeがパネリストとして登場、Trendvision で有名なフューチャリスト、Paola De Lucaなどがジュエリートレンドの将来を占った。
また、「Buyers’ Forum: Grasp the Outlook of World’s Jewellery Markets」として、Mrs Muriel Piaserをモデレーターが司会を務め、Mr Fei Liu やMr Cuong Bao Diepなどの著名なジュエリーキーマンを招いてパネルディスカッションが行われた。
いずれのプログラムも多くの来場者が参加し、展示会の取引とともに、活況となった。見通せない世界情勢の中で、将来のジュエリーマーケットがどうなるのかに如何に関心があるかが伺えた。