ジュエリーの空枠販売の老舗として知られる、株式会社パールハンズ(所在地:山梨県中巨摩郡 責任者:今澤賢一氏)が2010年6月、Pt900の新たな合金『Le Grand P(ル・グラン・プラチナ)』の開発を発表した。
『Le Grand P』の地金成分はPt90%・Ir10%(IRIDPLAT)。
日本で多くプラチナの割金に使われているPd(パラジウム)ではなく、Ir(イリジウム)を使用している。
パールハンズはIr(イリジウム)を使用した『Le Grand P』の開発理由を「消費者にとっての不利益の排除」としており、
現状、市場にあるプラチナジュエリーの不満点として、
・ Pdは融点が低く、性能の低いマシーンでもキャストが出来る利点があった(海外でプラチナの割金に使用されるRu(ルテニウム)・Irの融点はともに2000度を超えるため、マシーンの性能が良くないとスムーズなキャストが出来ず、相応の技術力も必要)が、硬度の低いPdはジュエリーとして日常的に使用した場合、“メレを留めている爪が磨耗してセッティングされている石が飛んでしまう”“重い荷物を持ち上げただけで変形する”など、耐久性の不都合があった。
・ 傷を付きにくくする為に従来メッキをかけて硬度を上げる手法が取られてきたが、メッキで使用されるロジウムも硬度がHv101(ビッカーズ硬度)程度なので充分な強度を持っているとは言えない。
・ 硬度を上げるためにコバルト・Ru・Irなどを微量に入れて硬度を上げてきた経緯があるが、コバルトは白金族に属さないため、貴金属としての有り方にそぐわない。
・ Ruに関してはIr同様、白金族であるが、Pdと同じく第5周期(元素表)に属しているため比重が軽く、貴金属としての重量に不満が残る(トレンドの細身のリングの場合は尚更、軽さが実感される)。
などの例を挙げている。
『Le Grand P』の硬さはビッカーズ硬度の比較でHv130、山梨県工業技術センター調べのサンプル硬度試験ではHv140(Pdを配合したPt900=Hv70)となっており、ノンメッキでも従来の商品より傷が付きにくく、Irに重量があるためにジュエリーとしての実感ある重みを実現している。
また、地金の結晶粒を微細化することによって、加工上の問題点を克服。海外のRuあるいはIr割金のPt950の融点が2000℃を超えるのに比較して、1800~1900℃の融点になっている。
『Le Grand P』の名前は、「Le Grand Kilo=国際キログラム原器」から採られている。
「Le Grand Kilo」とは1879年にジョンソン マッセイ社によって製作されたキログラムの単位の基準になっている金属塊であり、プラチナ90%・イリジウム10%から作られている歴史的価値のある合金。
1884年までに40個のコピーが製作されており(日本にもK6がある)、オリジナルはフランス・パリ郊外セーヴルの国際度量衡局に二重の気密容器で真空中に保管されたまま当時の美しさを保ち、Pt90・Ir10合金の耐久性ある美しさを証明している。
1920年~1930年代、Pt90%・Ir10%の合金はアメリカでは最もポピュラーなプラチナ合金としてジュエリーに使用されており、Pt900合金の中で唯一、品位を表す特定刻印 “IRIDPLAT”を持っている。
『Le Grand P』のリング、IRIDPLAT Ringは、山梨県工業技術センターの試験でHv測定値140となっている。
白金族のIr(イリジウム)を使用した品位の高さ、Hv130~140の高い硬度を持つ耐久性、そして歴史との関わりからもパールハンズでは「『Le Grand P』は強度・粘り・テリ・肌触り・地金の血統など、あらゆる点で従来のPdを使用したPt900を陵駕する合金」と自負しており、「近年、小売店から要望されるようになっている、消費者の要求に適った製品提供ができる素材(職人集団なので、素材提供はするが、デザイン・コンセプトを盛り込んだ製品を押し付けるつもりはない)」と話している。