ジュエリーアーティストの梶光夫氏が、長年にわたり蒐集してきた貴重なエマーユコレクション148点を国立西洋美術館へ寄贈し、フランスの伝統芸術であるエマーユの普及に大きく貢献したことが評価され、内閣府より紺綬褒章ならびに木杯を受章した。
同館への寄贈は2024年12月に行われ、寄贈記念展として2025年3月から6月にかけて「梶コレクション 色彩の宝石、エマーユの美」が開催された。会期中には約16万人が来場し、大きな反響を呼んだ。現在、寄贈作品は新たに加わった同館所蔵の「梶コレクション」として常設展で公開されている。
寄贈作品は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてフランス・リモージュで制作された作品を中心に構成されており、エマーユ絵画、小箱、ミニアチュールエマーユ、エマーユジュエリーなど、多彩な作品群を通してエマーユの魅力を伝える内容となっている。また、エマーユジュエリーの中には梶光夫デザインの作品5点も含まれており、同氏は国立西洋美術館におけるジュエリー業界初の収蔵作家となった。
梶光夫氏は「今回の受章を励みに、『エマーユ七宝美術館』の展示内容をさらに充実させ、国立西洋美術館との相乗効果によって、日本国内におけるエマーユの認知向上に引き続き取り組んでいきたい」と述べている。
さらに、フランスと日本の文化の架け橋となる創作活動にも力を注いでいく考えを示しており、その第一歩として「輪島塗宝飾大皿」を新たに制作した。
同作品は、アール・ヌーヴォー期のエマーユ作家ポール・ボノーの絵画を、日本の伝統工芸である輪島塗で表現し、さらに梶光夫の感性によって宝石をあしらった作品である。日本とフランス両国の伝統工芸へのオマージュを込めた、東洋と西洋の文化が融合した作品となっている。
この「輪島塗宝飾大皿」は、6月20日・21日に帝国ホテルで開催される創美展において特別出品される予定である。
また、同作品は文化交流を目的としてフランスの美術館への寄贈準備が進められているほか、フランス・リモージュにあるリモージュ市立美術館へも、梶光夫氏の代表作である「エマーユジュエリー」数点を寄贈する予定だという。
梶光夫氏はこれまで約45年にわたり、ジュエリーアーティストとして、またアンティークエマーユのコレクターとして、フランスと日本をつなぐ活動を続けてきた。梶光夫は「紺綬褒章の受章を励みに、今後もフランスと日本の文化交流に加え、美術工芸文化の継承・普及・発展に貢献できるよう努めていきたい」と述べている。