インド宝石・宝飾品業界、FTA拡大と税制改革で「世界取引ハブ」へ前進—第42回「IIJS Bharat Premiere 2026」開催
【ムンバイ】 インド宝石宝石輸出振興会(GJEPC)が主催する第42回「IIJS Bharat Premiere 2026」が8月5日から10日にかけて、ムンバイの2大会場(ジオ・ワールド・コンベンションセンターおよびボンベイ・エキシビションセンター)で開催された。25周年という節目を迎えた今回の展覧会は、一連の自由貿易協定(FTA)の発効やダイヤモンド原石の税制改革案といった力強い追い風を背景に、世界最高峰のB2B商談の場として熱気を帯びた。
1. 新たな貿易協定が描く「輸出の最新地図」
今回のIIJS展は、インドの宝石・宝飾業界にとって過去最も有利な貿易環境の中で開幕を迎えた。 UAEやオーストラリアとの協定に続き、直近では7月15日に「インド・英国包括的経済連携協定(CETA)」が発効したほか、6月1日には「インド・オマーンCEPA」が発効した。さらに欧州連合(EU)やニュージーランドとの協定発効も控えており、優遇税率を背景とした新たなグローバル市場へのアクセスが加速している。
展示会は世界第2位の規模を誇り、総面積13万5,000平方メートルを超える会場に2,100社以上の出展者と3,600以上のブースが結集。80カ国以上・2,700名を超える海外バイヤーを含む、5万人以上の来場者を動員した。同時開催された機械展「IGJME」にも249社が出展し、製造の自動化や精密技術の最新トレンドを提示した。
2. ダイヤモンド原石「15年間非課税」法案と取引ハブ化への野心
GJEPCのキリット・バンサリ(Kirit Bhansali)会長は開会式にて、インド議会に提出された「2026年税法等(改正)案」に言及。同法案には、特別指定ゾーン(SNZ)内でのダイヤモンド原石販売に対する15年間の法人税免除が盛り込まれており、業界にとって画期的な改革となると語った。
「何十年もの間、インドは世界のダイヤモンドをカット・研磨してきましたが、自国で取引を行うことはありませんでした。この改革により、世界の鉱山会社やトレーダーが直接原石をインドに持ち込めるようになり、メーカーは原産地価格での仕入れが可能になります。インドは単なる『製造拠点』から、ダイヤモンドが買われ、売られる『世界的な取引ハブ』へと脱皮します」(バンサリ会長)
また、インドが世界ダイヤモンド寄港地協会(WFDB)の会長職や世界ダイヤモンド評議会(WDC)の副会長職を務めるなど、グローバルな主導権を高めている点も強調し、2047年までに宝石・宝飾品輸出額1,000億ドルを達成するというビジョンを掲げた。
3. 「Brand India」の構築とグローバル大手からの高い期待
6日のボンベイ・エキシビションセンター会場の開会式には、チラグ・パスワン(Chirag Paswan)食品加工産業大臣が登壇し、「『Made in India』の宝飾品は、品質・職人技・イノベーションを通じて世界中の消費者から信頼されるブランド(Brand India)にならなければならない」と強調した。
主要パートナーからも前向きなメッセージが相次いだ。
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デビアス・グループ(De Beers): パウロ・ローリー最高副社長は、「インドはデビアスにとって単なる市場ではなく、天然ダイヤモンドの未来を共に創るパートナーだ。インドは世界で最も急成長している天然ダイヤモンド市場である」と評価した。
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GIA(米国宝石学会): プリテシュ・パテルCEOは、「インドは製造の拠点であるだけでなく、イノベーションと人材のハブへと進化している。透明性と信頼を基盤とした業界の発展をサポートしたい」と語った。
4. 11年目を迎えたCSR「Jewellers for Hope」、寄付総額は1億1,000万ルピー超に
IIJS期間中の8月6日夜には、GJEPCのフラッグシップCSRイベントである第11回「Jewellers for Hope 2026」がグランドハイアット・ムンバイで開催された。
主賓としてマハラシュトラ州議会のラフル・ナルヴェカル議長、および女優・慈善活動家のマドゥリ・ディキシー(Madhuri Dixit)氏が出席。2014年の設立以来、累計寄付額は1億1,000万ルピー(約11クローレ)を突破し、16以上の団体を通じて女子教育、医療、児童買春からの救出、軍遺族支援などに充てられてきた。
今回の募金は「宝石・宝飾品全国救援基金(GJNRF)」を通じて、子どもたちの今後3〜4年間にわたる教育支援に活用される。また、慈善オークション「Dinner with an Icon」も実施され、収益の全額が小児がん患者とその家族を支援するNGO「Access Life」へ寄付された。
【総括】「製造の25年」から「グローバルリーダーの25年」へ
過去25年間で「世界最強のジュエリー製造拠点」としての地位を確立したインドは、次の25年で「世界の宝飾ビジネスを牽引するリーダー」へのシフトを図っている。網羅的なFTAの活用、税制優遇による取引ハブ化、高度なデジタル技術の導入(ジュエリーテックやメタバース活用)を通じ、インド宝飾業界の存在感はかつてない高まりを見せている。